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研修医時代のエピソード

一番思い出に残っているのは、2年目も終了間近の3月中旬。午後の診療当番になっており、一般外来に紹介状を持って来院された70代男性。紹介状の内容は「朝から顔の浮腫が出現し前医初診。血液検査を行ったところ、腎障害があるために精密加療依頼」というものでした。ちょうど医学部の学生が実習に来ていたため、患者さんを入れる前に浮腫の鑑別の方法、どういった問診が必要かなどを簡単に説明し、実際に患者さんの診察を開始。問診を一通り行い、身体診察で頭頸部診察を行ったところ、浮腫がある部位に握雪感をみとめました。目じりの高さから腰部まで皮下気腫が広がっており、原因としては左肋骨骨折で外傷性気胸を発症し、肺から漏れた空気が皮下にもれて皮下気腫が出来ており、それを顔の浮腫ととらえていたようでした。詳しく問診すると来院10日ほど前にトラクターから転落し、左胸部打撲したとのことでした。同日に整形外科受診し、骨折なしとのことで痛み止めで経過観察となっていたとのこと。胸腔ドレーン挿入し、胸部外科にコンサルト行い、入院加療を行い無事軽快退院されました。この症例で感じたことは身体診察の大切さです。身体診察をしっかりすれば、異常に気づき、紹介内容も異なったのではないかと考えるとともに、この主訴の時には、最低限この検査をやっておけば良いといったパターン認識で検査を出してしまうことで、診断が遅れたり、診断をミスリードされてしまう危険性を感じました。この症例は教訓をして、ときどき研修医に症例提示などをして、しっかり患者さんの診察をすることの大切さの話をしています。

研修中に学んでいた方がいいと思うもの

どんな科に行っても切り離せないのが感染症です。

感染症に対する考え方、抗菌薬の使い方は初期研修の内に基礎をしっかりマスターしておかないと、専門研修になった際に、「尿路感染症だからLVFX」「CRP高いからMEPM」といった診療を行い、いたずらに耐性菌を増やすリスクを上昇させたり、不十分な治療がされることで、患者さんが不利益を被る結果になる危険性があります。

また、生活習慣病のひとつである糖尿病はある程度どのような科に進むにも関わりがあると思います。専門分野としないのであれば薬の商品名を網羅するなどは不要でしょうが、一般的な糖尿病治療薬の使い方、禁忌、およびインスリン製剤の種類と使用方法は勉強しておいた方が良いと思います。

最後に、学会発表や論文執筆時に欠かせない文献検索、担当症例に関する治療法などの情報収集能力は培っておいた方が良いと思います。